はじめに
前回のレポート「動き出した米国の暗号資産規制(前編)─ステーブルコインを規制するGENIUS法が成立─」[1]では、トランプ大統領の「米国を暗号資産の世界中心地にする」との方針のもとで、急速に暗号資産規制整備が動きだしていること、そして具体的な形としてステーブルコインに関するGENIUS法が成立したことについて述べた。今回の「同(後編)─GENIUS法の概要─」では、そのGENIUS法について、何を規定する法律なのか、条文を読み解き解説する。
GENIUS法の目的
GENIUS法の冒頭には「An Act To provide for the regulation of payment stablecoins, and for other purposes.(ステーブルコインの規制を提供すること、およびその他の目的のための法律)」と明記されている。したがって、GENIUS法の主な立法目的は、米国内におけるステーブルコインの包括的な規制枠組みを確立することにある。一方、その他の目的としては、条文全体の構成や内容から吸い上げると、1.金融システムの安定性と消費者保護の確保、2.アルゴリズム型ステーブルコインの禁止、3.連邦規制当局(FRB、OCCなど)の監督権限の明確化、4.マネーロンダリング防止・制裁遵守の強化、5.米ドルの国際的競争力と基軸通貨としての地位の維持、が主なものとして挙げられる。
以下ではGENIUS法の内容について解説する。
GENIUS法の概要
GENIUS法の定める内容を、条文に沿って詳細に解説し若干の筆者注を加えたものが文末の(補足解説)GENIUS法の詳細であり、時間に余裕のある読者にはぜひご覧いただきたいが、忙しい方のために要点のみを記すと以下のとおりである。
(主な定義と用語)
- ステーブルコイン(Payment Stablecoin):米ドルなどの法定通貨に価値を連動させたデジタル資産。
- 認可された発行者(Permitted Issuer):連邦または州の規制当局から承認を受けたステーブルコイン発行者。
- 外国発行者(Foreign Issuer):米国外で設立されたステーブルコイン発行者。
- デジタル資産サービス提供者:ステーブルコインの交換・保管・送金などを行う事業者。
(発行に関する規制)
- 認可された発行者以外が米国内でステーブルコインを発行することは禁止。
- 発行者は、発行したステーブルコインと同額の資産(米ドル、短期国債など)を保有する必要がある。
- 発行者は毎月、保有資産の内訳を公開し、会計監査を受ける義務がある。
- 発行者がステーブルコインの保有者に対して利息を支払うことは禁止。
- 発行者は、消費者に誤解を与えるような名称(例:「USGコイン」など)を使用してはならない。
(消費者保護とAML対策)
- 発行者はマネーロンダリング防止(AML)や経済制裁遵守のための体制を整備する必要がある。
- 犯罪歴のある人物(インサイダー取引、テロ資金供与など)は発行者の役員になれない。
- 外国の発行者は、米国の法令に従う技術的能力を持ち、財務省の承認を得る必要がある。
(州と連邦の監督体制)
- 発行者の規模に応じて、州または連邦の規制当局が監督を行う。
- 発行額が100億ドルを超える場合は、連邦の監督に移行する必要がある。
- 州の規制制度が連邦と同等であると認定された場合、州による監督が継続可能。
(イノベーションと技術標準)
- 財務省はAIやブロックチェーンなどの技術を活用したAML対策の研究を行う。
- 連邦の主要な規制は、当局ステーブルコインの相互運用性(異なる発行者間での互換性)を促進するための技術標準を策定する。
(破産時の優先順位)
- 発行者が破産した場合、ステーブルコイン保有者の請求権は他の債権者より優先される。
(その他の重要事項)
- ステーブルコインは証券や商品(コモディティ)とはみなされない。
- 一定の条件を満たす外国との間では、相互承認制度を設けることができる。
- 公務員は在職中にステーブルコインを発行してはならない。
おわりに
GENIUS法は、ステーブルコインの信頼性を飛躍的に高めることで、その普及を促進し、米国金融市場におけるステーブルコインの地位確立に寄与する。これは、米ドルがデジタル時代においても基軸通貨としての地位を維持するというホワイトハウスの戦略的目標と一致している。特に、米国発行のステーブルコインが100%ドルまたはドル等価資産で裏付けられるという要件は、米国債への安定した需要を生み出し、金融市場に新たな流動性をもたらすとの見方もある[2]。
さらに、世界の金融市場でステーブルコインの存在感が高まる中、機関投資家の参入を促すとともに、分散型金融(DeFi)の再活性化につながる可能性も指摘されている。一方で、「利息の付かないステーブルコインは、時間とともに価値が目減りする資産に過ぎない」といった懸念も根強く、仮に他国で利息付きステーブルコインが流通した場合には、制度間の摩擦が生じ、マネーの単一性に関する問題が浮上する可能性もある。また、バックアセットの管理や、預金・現金への換金に備えた流動性リスク管理が不十分な場合、混乱を引き起こす可能性もあり、監督体制の確立や運用も課題となる[3]。加えて、今後の市場動向や技術革新によっては、さらなる議論や制度の見直しが求められる可能性もある。
しかし、本法案の成立は、ステーブルコインの潜在能力を最大限に引き出しながら、金融の安定性と消費者保護を両立させる、現時点で最も多面的かつ先進的な取り組みの一つと評価されている。米国のデジタル金融エコシステムは、これを契機に新たな段階へと進化する可能性がある。
(補足解説)GENIUS法の詳細
(ステーブルコインの定義)
ステーブルコインの定義 |
- 規制の対象とするステーブルコインは、支払いまたは決済手段として使用される(または設計された)デジタル資産であり、発行者が一定額の金銭的価値で交換、償還、または買戻しを行う義務を負うものをいう(Payment Stablecoin)。また、発行者が一定額の金銭的価値に対して安定した価値を維持するか、または維持するという合理的な期待を抱かせることを表明しているものであり、国の通貨、預金(分散型台帳技術で記録された預金を含む)、または有価証券は含まない。
(筆者注)本法は銀行本体が、預金をデジタル形式で発行することを妨げるものではないが、それらのデジタル資産は本法で規制される「ステーブルコイン」とは異なるものとして扱われることになる。
- いわゆるアルゴリズム型ステーブルコイン(endogenously collateralized stablecoins)については、「Payment Stablecoin」とは異なる範疇の「Non- Payment Stablecoin」の一種として位置づけ、その性質を詳細に調査し、議会に報告することを求めている。
(筆者注)アルゴリズム型ステーブルコインは、名指しで「禁止」されているわけではないが、「認可されたステーブルコイン」の定義と厳格な準備金要件により、ステーブルコインとして機能することが実質的に排除されている(アルゴリズム型ステーブルコインの実質的禁止)。
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(ステーブルコイン発行者に関する規定)
ステーブルコインの発行者 |
- 米国でステーブルコインを発行することが認められるのは「認可されたステーブルコイン発行者」(Permitted Payment Stablecoin Issuer)のみである。
- 「認可されたステーブルコイン発⾏者」は、米国で設⽴された者のうち、連邦または州の当局から認可を受けた銀行(保険付預金取扱機関)の子会社ないし事業体(個⼈、パートナーシップ、会社、法⼈、協会、信託、協同組合、またはその他<法⼈化の有無を問わない>)と規定される。
(筆者注)認可された銀行(保険付預金取扱機関)がステーブルコインを発行する際には、直接ではなく「子会社」形態を利用することが前提とされている。ステーブルコイン事業に伴うリスクを親銀行の主要な銀行業務から分離し、米国の金融システムの安全性と健全性を保護することにある(子会社による倒産処理の分離)。
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非金融サービス上場企業による発行規制 |
- 金融活動を主たる事業としていない上場企業(およびその子会社・関連会社)がステーブルコインを発行するには、以下の3つの条件を満たしていることを、ステーブルコイン認証審査委員会(Stablecoin Certification Review Committee)が、全員一致で承認する必要がある。
a 米国の銀行システム、金融安定性、預金保険基金に重大なリスクを与えないこと b 消費者の同意なしに、ステーブルコイン取引から得た非公開個人情報を広告のターゲティング、パーソナライズ、ランク付けに利用したり、第三者に販売したり、非関連会社と共有したりしないこと c 顧客に他の有料製品やサービスを強制する条件でサービスを提供したり、競合他社から製品やサービスを取得しないことに同意させたりしないこと
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外国のステーブルコイン発行者による提供・販売 |
- 外国のステーブルコイン発行者が発行するステーブルコインについては、特定の条件を満たせば、例外としてデジタル資産サービスプロバイダーによる提供、販売、またはその他の利用が可能となる。
- その条件とは、当該外国のステーブルコイン発行者が、米国と同等の規制・監督体制を持つ外国の規制当局による規制・監督を受けており(財務省長官による規制・監督体制の同等性決定が必要)、通貨監督庁に登録され、米国顧客の流動性需要を満たすのに十分な準備金を、米国の金融機関に保有していると認められる場合である。
- その場合、米国と当該法域との間で、相互協定またはその他の二国間協定を締結し、実施することができる(相互主義)。なお、当該外国が米国による包括的な経済制裁の対象国ではないこと、または米国財務省が「主要なマネーロンダリング懸念国・地域」と認定した管轄区域に該当しないことも条件となっている。
- さらに、その発行者は、以下のような法令に基づく命令 (lawful order)※に従うための技術的な対応能力を備え、常にその命令に従う義務がある。
(※)法令に基づく命令(lawful order)とは、裁判所や連邦機関がその法的権限に基づいて発行・通知する、最終的かつ有効な令状、命令、規則、判決、指示など。 a ステーブルコインの差し押さえ、凍結、焼却、または移転の停止を発行者に求めること b 対象となるステーブルコインや口座を技術的に明確に特定できる能力を発行者が有していること
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発行者の事業活動の限定 |
- ステーブルコイン発行者の事業は、コインの発行・償還、準備金の管理、保管サービスの提供など、特定の活動に限定される。ただし、主要な連邦または州の支払いステーブルコイン規制当局によって許可されている場合、この法律で指定された支払いステーブルコイン活動やデジタル資産サービスプロバイダー活動、およびそれに付随する活動を行うことを制限するものではない。
(筆者注)こうした業務範囲の制限は、ステーブルコイン本来の「支払手段」としての役割から逸脱しないようにするためのものであり、他の事業との間で利益相反が生じるリスクを間接的に抑える効果もある。
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マネーロンダリング防止・制裁順守の強化 |
- 認可を受けたステーブルコイン発行者は、銀行秘密法や経済制裁法の観点から「金融機関」として扱われることになる。
- そのため、米国内の金融機関に適用されるすべての連邦法、つまり経済制裁、マネーロンダリング防止、顧客確認(KYC)、デューデリジェンスなどに関する規制の対象となる。
- 一方、財務長官は、規制対象の金融機関がデジタル資産に関わるマネーロンダリングや制裁回避などの斬新で革新的な方法、技術、または戦略を開発し導入することを可能にするための立法および規制上の提案 について議会に報告書を提出することとされている(技術開発と革新的なアプローチの促進)。
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重罪判決を受けた個人の関与禁止 |
- インサイダー取引、横領、サイバー犯罪、マネーロンダリング、テロ資金供与、金融詐欺などの重大な犯罪で有罪判決を受けた人物は、ステーブルコイン発行者の役員や理事に就任することはできない。
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(ステーブルコインの発行等に関わる規定)
ステーブルコイン発行要件 |
- ステーブルコイン発行者は、流通しているステーブルコインを少なくとも1対1の比率で裏付ける識別可能な準備金を維持することが義務付けられる(識別可能な準備金の維持)。この準備金は、米国の硬貨・通貨、連邦準備銀行の口座にある資金、保険付預金取扱機関の要求払預金、残存期間93日以下の米国債など、流動性の高い特定の資産で構成されなければならない(厳格な準備金要件)。
- この準備金は、特定の例外を除き、発行者によって質入れ、再担保、または再利用されることが禁止されている(再担保の禁止)。
(筆者注)これにより、準備金が不適切に利用されて流動性が損なわれるリスクを防ぎ、償還要求に応えられない事態を回避することが可能となる。
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利息支払いの禁止 |
- 認可されたステーブルコイン発行者や外国のステーブルコイン発行者は、ステーブルコインの保有・利用・管理に関連して、現金・トークン・その他の形態を問わず、保有者に対して利息や収益を支払ってはならない(利息支払いの禁止)。
(筆者注)ステーブルコインを、利息を生む投資商品ではなく、安定した価値を持つ現金や預金のような支払手段として機能させる意図があると考えられる(利息が付くと、投資目的での保有が促進され、その性質が曖昧になる可能性がある)。また、利息の禁止には、ステーブルコインが利息を支払う伝統的な銀行預金や他の投資商品と直接競合することを避ける狙いもあるとみられる。金利の変動や運用成績の悪化が引き金となってステーブルコインの大量償還要求(ラン)が発生するリスクを排除し、金融システムの安定性を守ることが目的である。
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償還ポリシーの透明性と規制当局による制限権限 |
- 発行者は、ステーブルコインの償還に関する方針(償還ポリシー)を公に開示し、未償還分について迅速かつ明確な償還手続きを、分かりやすく提示する必要がある(償還ポリシーの透明性)。なお、償還に関する制限は、州のステーブルコイン規制当局、連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)、または連邦準備制度理事会(FRB)といった公的な規制機関のみが課すことができる(規制当局による制限権限)。
(筆者注)これは、金融市場に混乱が生じた際などに、規制当局が介入して「ラン(大量償還要求)」の拡大を防ぐための権限を持つことを意味する。
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破産手続きにおける取り扱い |
- 認可を受けたステーブルコイン発行者が、連邦または州の破産手続き(米国破産法第11編や州の規制当局による手続きを含む)に入った場合、ステーブルコイン保有者の債権は、発行者や他の債権者に優先して、必要な準備金に対して権利を持つ(破産手続きにおける優先順位)。
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未認可ステーブルコインの扱い |
- 認可されていない発行者によるステーブルコイン発行は違反であり、違反者には最大100万ドルの罰金、または最大5年の懲役、あるいはその両方が科される可能性がある(未認可ステーブルコインの禁止)。
- 未認可ステーブルコインは、会計上の現金同等物や金融機関(先物取引業者、デリバティブ清算機関、証券会社、登録清算機関、スワップ業者など)の担保・証拠金として使用できないほか、銀行間のホールセール決済や、決済インフラによる銀行間の交換・決済のための決済資産として使用できない。
- ただし、仲介者を介さない個人間の送金や、個人が自分のウォレットを使って行う取引などは規制の対象外となる(個人取引の例外)。
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(発行者の監督および監査)
連邦と州の監督 |
- 連邦政府の認可を受けたステーブルコイン発行者は、通貨監督庁によってのみ認可・規制・監督・検査を受ける(連邦認可ステーブルコイン発行者の監督)。
- 州の認可を受けたステーブルコイン発行者は、発行済みステーブルコインの総額が100億ドル以下である場合に限り、州レベルの規制体制を選択することができる。ただし、その州の規制が、本法に基づく連邦の規制枠組みと「実質的に同等」であることが条件となる(州認可ステーブルコイン発行者の監督)。
- 州に認可されたステーブルコイン発行者の連結発行総額が100億ドルを超える場合は、その時点から360日以内に、連邦の監督体制に移行するか、新規の支払ステーブルコインの発行を停止する必要がある。
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準備金の月次開示と第三者による監査 |
- ステーブルコイン発行者は、毎月、準備金の状況を自社のウェブサイトで公開する義務がある。この報告には、流通しているステーブルコインの総数、準備金の金額とその内訳、平均償還期間(テナー)、保管場所などの情報が含まれる(情報の透明性)。
- また、この月次報告書は、登録済みの公認会計事務所による監査を受ける必要があり、発行者のCEOおよびCFOは、報告内容の正確性について正式な認証を提出しなければならない(第三者による監査)。
(筆者注)これらの要件は、準備金に関する透明性と信頼性を高めることで、情報不足や不信感から生じる「ラン」のリスクを抑える狙いがある。
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監査と報告 |
- 認可を受けたステーブルコイン発行者で、連結された流通総額が500億ドルを超える場合は、年次財務諸表の作成と、登録済みの公認会計事務所による監査が義務付けられる。この監査済みの財務諸表は公開されるとともに、主要な連邦のステーブルコイン規制当局に提出される(監査報告の当局への提出)。
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(その他)
相互運用性基準 |
- 連邦政府の主要なステーブルコイン規制当局は、国立標準技術研究所(NIST)などと連携しながら、認可されたステーブルコイン発行者が、他の発行者やデジタル金融エコシステム全体(承認された通信プロトコルやブロックチェーン技術〈許可型・公開型を含む〉)と円滑に連携・相互運用できるようにするための基準を策定する(相互運用性基準の策定)。
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誤解を招く名称の使用禁止 |
- 「United States」「United States Government」「USG」など、米国政府を連想させる名称をステーブルコインの名前に使用したり、あたかも米国がそのステーブルコインを発行・保証・承認しているかのような誤解を招く宣伝を行うことは認められない(詐欺的な名称使用の禁止)。
- ただし、「USD」のように、米ドルとの連動(ペッグ)を示す略称については使用が許容される。
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有価証券およびコモディティからの除外 |
- 認可を受けたステーブルコイン発行者が発行するステーブルコインは、1940年の投資顧問法、1940年の投資会社法、1933年の証券法、1934年の証券取引法、1970年の証券投資者保護法における「有価証券」の定義から明確に除外される。同様に、商品取引法における「コモディティ(商品)」の定義にも該当しない。また、認可されたステーブルコイン発行者は、「投資会社」として扱われることはない(SEC/CFTCによる規制の除外)。
- 例えば、1934年証券取引所法の定義には明確な修正が加えられ、「ステーブルコインは証券に含まれない」ことが明記された。
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既存の倫理規定の適用 |
- 本法は、政府倫理局(Office of Government Ethics)が管理する既存の倫理法規、または上院および下院の倫理規則(合衆国法典第18編第208条、合衆国連邦規則集第5編第2635.702条および第2635.802条を含む)の継続的な適用を制限するものではないため、連邦議会議員や上級行政機関の職員が公務期間中にステーブルコインを発行することを禁止される(公務員による発行禁止)。
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経過措置
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- 原則として、本法の施行から3年が経過した後は、認可を受けたステーブルコイン発行者によるものでない限り、デジタル資産サービスプロバイダーが米国居住者に対してステーブルコインを提供・販売することは違法となる。
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法律の発効日
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- 本法は2025年7月18日に公布され、公法119-27号として成立した。発効は、公布から18か月後、または主たる連邦のステーブルコイン規制当局が本法の施行に向けた最終規則を発行した日から120日後のいずれか早い方とされる。
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[1] レポート『動き出した米国の暗号資産規制(前編)─ステーブルコインを規制するGENIUS法が成立─』(SBI金融経済研究所), https://sbiferi.co.jp/report/20250812_1.html
[2] BISワーキングペーパー「Stablecoins and safe asset prices」(※)によると、ステーブルコインの発行者の中でも特にTether(USDT)とCircle(USDC)は、トークンの裏付け資産として主に米国財務省証券(T-bill)とマネーマーケット商品を活用しており、既に短期債務市場における重要なプレーヤーとして位置づけられている。実際、2024年には両社合わせて約400億ドルの米国財務省証券を購入しており、その規模は最大の米国政府系マネーマーケットファンドと同水準で、ほとんどの外国による購入額を上回っている(JP Morgan GMMF、中国に次いで3番目)。
(※)Rashad Ahmed and Iñaki Aldasoro (Monetary and Economic Department), “Stablecoins and safe asset prices”, BIS Working Papers No 1270, May 28, 2025, https://www.bis.org/publ/work1270.pdf
[3] Barry Eichengreen (professor of economics and political science at the University of California, Berkeley), “Op-Ed: The Genius Act Will Bring Economic Chaos”, New York Times, June 17, 2025, https://ls.berkeley.edu/news/op-ed-genius-act-will-bring-economic-chaos