2024年11月25日
「NFTの信頼性を高める仕組み」に関する特許取得のお知らせ
SBI金融経済研究所株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:北尾吉孝、以下「SBI金融経済研究所」)では、NFTの取引や市場の健全な発展に寄与することを目的に、「NFTの信頼性を高める仕組み」に関する研究に取り組んでいます。今回、研究内容の一部について特許を取得しましたのでお知らせいたします。
(※)NFT(Non-Fungible Token)とは、デジタルデータが替えが効かない唯一無二のものであることをブロックチェーン技術を利用して証明する技術。対象となるデジタルデータのトランザクション履歴、すなわちオーナーシップの変更履歴にかかる情報を追跡できることから、デジタルデータの所有者証明書のようなものとして機能する。
NFTを利用することによって、これまで著作物として管理することが難しかったデジタルデータ等のデジタル資産を、権利者として公表・利用したり、自由に売買することが可能となりましたが、一方で、NFTには、同じ対象デジタルデータに対して複数のトークンが発行されてしまうことや、トークンの対象となるデジタルデータの信憑性や差し替えリスク等の問題が残されています。NFTの取引や市場が健全に発展していくためには、こうしたリスク等に対応し、消費者保護等の観点からの制度整備を行うことはもちろん、NFTの信頼性を高める仕組みを構築し、必要に応じてそれが選択的に利用できる環境を整備することも課題であると考えられます。
(課題)同じ対象データに対するNFTが複数存在可
そこで、当研究所では、NFTに電子透かし技術を組み合せる工夫等により、従来できなかったNFTの「対象デジタルデータ」から「正規のNFT」を一意に参照できる仕組みを考案し、課題解決に結びつけました。従来は「NFT」から対応する「対象デジタルデータ」を参照する一方向のみでしたが、今回の発明した工夫により一定の条件下では、「NFT」と「対象デジタルデータ」が双方向で参照できる一対一の強固な対応関係(一意対応)となり、同じデジタルデータに対し複数のNFTが存在しないこと等を保証できることになります。
(解決)対象データと正規のNFTが一対一の対応関係
なお、今回特許を取得した発明は、昨年末に電子情報通信学会 技術と社会・倫理研究会で発表し(*1)、当研究所WEBレポートで解説(*2)した研究内容の一部です。研究内容を含め、本件にご関心のある方は、末尾の連絡先までお問合せください。
発明名称 |
コンテンツデータの帰属主体であるブロックチェーン基盤上のトークン保有者が、当該コンテンツデータに埋め込まれた電子透かしによって、当該コンテンツデータと当該帰属主体との双方向の一意対応を証明及び検証する情報処理システム |
特許番号 | 特許 第7555533号 |
登録日 |
2024年9月13日(金) |
当研究所では、調査研究や政策提言を通じ、デジタルアセットの活用による次世代・デジタル金融の推進、そして、よりよい社会の発展に貢献するよう努めてまいります。
*1: 中山靖司、「NFTの信頼性を高める仕組みについて ~NFTの課題とその解決~」、電子情報通信学会 技術と社会・倫理研究会(SITE)、信学技報, vol. 123, no. 246, SITE2023-66, pp.114-118, 2023年11月
*2: 中山靖司、「NFT は本当に「唯一無二」と言えるのか?-NFTの信頼性を高める一つの方法の提案-」、SBI金融経済研究所WEBレポート、2023年11月30日、https://sbiferi.co.jp/report/20231130_1.html
本プレスリリースに関するお問い合わせ先: SBI金融経済研究所 企画管理部 03-6229-1001