2024.12.24
「次世代金融アンケート2024」の結果
SBI金融経済研究所は、2022年度以降、暗号資産等の新しいデジタル金融商品(次世代金融商品)に焦点を当て、各種金融商品についての一般消費者の関心や利用度に関するアンケート調査を行っている。第3回目の調査(「次世代金融アンケート2024」)を2024年8月末~10月初に実施し、この度、その調査結果を公表した。
(アンケートの概要)
- 本調査は、暗号資産やステーブルコイン(SC)、セキュリティトークン(ST)、非代替性トークン(NFT)といった新しいデジタル金融商品に焦点を当て、株や債券といった従来のリスク性金融商品と比較しながら、個人の資産選択行動やそれに影響を与える要因を明らかにすることを目的としている。
- 日本、アメリカ、ドイツ、中国の4ヵ国の20歳以上の個人を対象とし、同じ質問の調査を8月末から10月初にかけて実施した。
- 結果の集計に用いた調査サンプル数は、日本が1万人、他の3か国が各4千人、合計2万2千人である。
- 質問内容は、①対象者の属性、②リスク性金融商品についての認知度、投資経験、認識、過去の投資パフォーマンスなど、③新しいデジタル金融商品についての認知度、投資経験、認識、保有額、最近の投資動向、投資目的など、④金融リテラシーやリスク回避度、その他の金融資産選択に影響を与える可能性のある要因の4群である。
(調査結果のポイント)
- 認知度をみると、日本では、他国に比べて、リスク性金融資産の認知度(Q9)は低く、新しいデジタル金融商品の認知度(Q17)は著しく低い。
- 各金融資産を認知している者の投資経験をみると、日本では、他国に比べて、リスク性金融資産への投資経験(Q10)、新しいデジタル金融商品への投資経験(Q18)ともに少ない。
- 各金融商品に対する認識(Q13-15,23)をみると、各国とも「損失不安」をあげる者が多く、中でも「(価格変動)」を理由とする者が多い傾向にある。また、ポジティブな回答(「利益期待」、「分散効果」等)よりも、ネガティブな回答(「損失不安」「商品理解不能」等)が多い傾向にある。日本ではそうした傾向が強い。新しいデジタル金融商品(Q23)については、各国とも「商品理解不能」をあげる者が多い。
- 金融資産の保有状況をみると、現状(Q20)は、日本では現預金の割合が高い一方、リスク性金融資産の割合は低く、新しいデジタル金融商品の割合は著しく低い。もっとも、日本を含む各国で、新しいデジタル金融商品の保有者はその保有額を増やしている(Q21)。
- 将来の理想的なポートフォリオ(Q37)をみると、現預金の割合を減らしリスク性金融商品や新しいデジタル金融商品の割合を増やしたい者が多く、「貯蓄から投資へ」の流れがうかがわれる。株価の情報を与えると株式投資を増やし、ビットコイン価格の情報を与えると新しいデジタル金融商品への投資を増やし、インフレ見通しの情報を与えると現預金の保有を減らす傾向がみられ、情報提供が金融商品の選択に与える影響の大きさがうかがわれる。
- 金融リテラシー(Q25-28)をみると、国別ではドイツが高く、日本は米国、中国と同水準にある。金融リテラシーが高い者ほど国内株式等への投資経験が多く(Q10)、暗号資産等への投資経験が少ない(Q18)傾向にある。金融教育を受けた経験がある者ほど金融リテラシーが高い傾向にあるが、日本では金融教育を受けた者の割合が低い(Q12)。
- リスク選好度(Q29,30)が高いほど、リスク性金融商品や新しいデジタル金融商品への投資経験(Q10,18)が多い傾向にある。
- ジェンダーについてみると、リスク性金融商品や新しいデジタル金融商品への投資経験(Q10,18)は、男性が女性に比べて多く(Q1)、男性優位のジェンダー規範を持っている者のほうが多い(Q33)。
- 経済成長率見通し(Q34)についてみると、期待値が高いほど各種金融資産への投資経験(Q10,18)は多い傾向にある。一方、ばらつきが大きいほど、国内株式等への投資経験(Q10)は少なく、暗号資産等への投資経験(Q18)は多い傾向にある。
- 物価上昇率見通し(Q35)についてみると、ばらつきが大きいほど金の保有割合(Q20)が大きい。
- 不動産投資動向(Q38)についてみると、日本では投資用不動産への投資意欲が低い。
(公表資料)
今年度の調査結果の詳細については下記の公表資料を参照されたい。
「次世代金融アンケート調査2024」、2024年12月24日
「次世代金融アンケート調査2024」(説明資料)、2024年12月24日
「次世代金融アンケート調査2024」の質問文と回答選択文、2024年12月24日
過去の調査結果の詳細については下記を参照されたい。
アンケート調査 | 次世代・デジタル金融の社会デザインを考える
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